2012/11/23

懐風館高校セミナー(出張講義)


昨日(2012年11月22日)は、大阪府立懐風館高等学校にて出張講義を行いました。


対象:高校1および2年生(15名)
時間:70分(講義は正味60分)
題目:「夢のある炭素材料の話」





1年生と2年生ですから、化学を学習した生徒さんとまだ学習していない生徒さんがいるので、
どういう話にするか、やや苦労しましたが「生活に密着した炭素材料」をイントロダクションにしました。

午後からの授業ですので、「眠気」との戦いでもあります。

緊張感をもちながら楽しんでもらおうと、予めアンケートを配布しました。
「へぇ~」と思ったらそれを数えておいてください
(学級委員選挙のときのように「正」の字を書いていく)、と新しい試みもしてみました。

生徒さんは、60分ほぼ集中して聞いてくれました。(大学の講義でも応用できるかもしれない)


以下は、そのアンケートの結果です。

また、出張講義でやってみたいと思います。


アンケートおよびその結果を全て記します。


1.「へぇ~」と思った回数         回

「へぇ~」と思うたび、「正」の字を書いてください。


「へぇ~」の回数
人数
25
23
20
15
10
8
7
2
6
2
5
1
4
2
3
2
合計 146
合計15
一人あたりの「へぇ~」 9.7
1分あたりの「へぇ~」 2.1
76秒あたり1回の「へぇ~」

★正味の講義時間を60分として計算





2.講義の中で興味が持てた点を書いてください。

・穴を作る方法に興味を持てた。ゼオライト。
・椿の研究について。炭素材料が生活のいろんな面で役立っていること。
・炭素材料。細孔。
・炭素は、匂いや毒を吸い取ったりしている。炭素だけで何でも出来る。
・炭素材料の構造。
DNAではたった4つの分子の組み合わせからできている。サッカーボール状のフラーレンはC 60個。フラーレンの仲間。カーボンナノチューブは鉛筆の芯と同じように、電気を通しやすい。賦活。
・活性炭やフラーレンの使い道。孔を開ける方法。
・炭素材料の構造。
・同じ炭素なのにダイヤモンドと黒鉛が全く違うのが不思議。
孔を作る方法がいろいろあり面白い。
・炭素材料の構造、カーボンナノチューブのこと。
・孔を作る方法、キャパシターのこと。
・細孔をつくる。孔をつくる。
・鉛筆の芯。
・形を変えるところ。どうやって形を変化させるのかなって思いました。

3.感想を自由に書いてください。

・炭素について、いろいろな話を聞いてすごく楽しかった。
・身の回りには、炭素がたくさんあることがわかった。
・炭素についての認識がシャーペンの芯やダイヤモンドの材料ということしかなかったんですが、とても生活に深く関わっていて、認識が大きく広がりました。
・話が難しかったです。知らないことがいっぱいあってとても勉強になりました。
・面白くなりそうです。化学が得意なのでよく分かりました。
・難しくて考えるのが大変でした。難しすぎてあまり理解ができなかったです。すいません。でも、いろいろと面白かったです。
・化学の力でいろんなことができるんだなと思いました。
・構造が変わるだけで同じ原子なのに、ダイヤモンドや鉛筆の芯の様に見た目も硬さも全く変わってしまうのがとても不思議だと思いました。
・炭素が車に使われていると聞いてびっくりしました。
・時間があれば、キャパシターの話を聞いてみたい。
・高校の授業より長かったけど、あまり疲れを感じなかった。
・今回の講義の炭素材料は本当に夢があると思いました。いろいろな形にしたり、孔をあけたりして、まだ効果もわからないいい効果になれば良いと思っています。
いろんなこと知れてよかったです。全然知らないことばかりで難しかったけど、勉強になりました!
・孔をつくる方法は、いろいろできるんやなって思いました。ポップコーンのことは深く考えたことがなかったので、すごいなって思った。
・いろんな言葉が次から次へといっぱい出てきたので、理解するのが少し大変でした。
・大学の授業は難しいなって少し思いました。でも、勉強になったし、楽しかったです。
・理系の大学を目指しているので、良い経験になりました。
・毒を吸収するのは知っていたけれど、飲むものがあるのにびっくりした。もっと詳しく知りたくなりました。


以上









2012/11/17

投稿論文の草稿を書く

今日は土曜日ですので研究室活動はありませんが、学生が投稿論文の草稿を提出してくれたので
それを読んでいます。

初めて書く学術論文は、卒業論文とは格別に異なる精度の高いものです。
がんばりましょう。

とうことで他のメンバーにも役立つようなメモを書いてみました。

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(1)項目を次のような形式で作成してください。
途中では文章はなくてもよいから、項目だけは書いておく。

1. Introduction
2. Experimental
2.1 Sample preparation
2.1.1 Sample modification
・・・・・
3. Results and discussion
3.1  Characterization of carbonaceous materials
・・・・・
4.Conclusion
References
Acknowledgment

(2)図表には、それぞれ番号を1から順番につけてください。

(3) Results and discussion における図や表の説明の仕方
おおむねのパターンがあります。

1)~~を図(表)に示す。<まとめる。>
2)その図表の事実関係を明確に記す。
  ・例 電流密度が小さくなるにつれて、静電容量は小さくなった。
   グラフなら、
横軸に対して縦軸の数値がどのように変化したのかを記述する。
   実験結果を記すので、「過去形」を使うことが多い。
3)2)の結果から判断できる、類推できることを記す ・・・・いわゆる考察である。
 ・必要に応じて、他の文献を引用すると説得力がでる。

です。

文章表現は同じにすると単調になるので、適切な言い方に変えると読みやすくなります。
しかし、このパターンは変わりません。


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<補足>
1)について
・現在形にすることもあります。
・「~~を図(表)に示す。」で読者は、初めてのその図表を見ると思ってください。
・文章でさんざん説明した後で、「その結果を図●にまとめた」などと書かれると読者は怒ることでしょう。
★必ず先に図表を明示し、それを見ながら文章を読んでもらうことを意識しましょう。

2)
・図表はていねいに、特に図は何が言いたいのかわかる図を描いてください。
・文章で説明するからといって、見栄えのしない図、何が言いたいのかわからない図はNG。
・文章を読む前に読者は、図表を先に見ます。そこで読む気が起ったら、初めて文章を読みます。
★図面は作図力学を考えて描くことです。

 知的な科学・技術文章の書き方―実験リポート作成から学術論文構築まで [単行本]
中島 利勝 (著), 塚本 真也 (著)

の作図力学を読み返してください。(研究室もあります。)

http://amzn.to/QOcTf8


3)結果と考察
・これが重要ですが、緊張することはありません。事実からわかることを書きましょう。
・この部分がそれぞれの図表の順番において、流れるように円滑に読むことができるようにしましょう。
論文の展開に論理性があるかどうかはこの図表がうまく読者に理解されるストーリーにかかってます。

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今日はこれぐらいにします。



2012/11/15

毎朝、掃除をする

そろそろ、3年生は4年生の卒業研究をどの研究室で行うか考え始めるころだ。
こういうことを考えることは、早ければ早いほどよい。
それが自分の人生やキャリアを考えることなので、情報を集めてじっくり考えるのが好ましい。

研究室や指導教員には、個性がある。
自分の個性と研究室の雰囲気や教員の指導方針がびったりと合えば、こんなに楽しいことはない。
もちろん、研究なのでお笑いの楽しさではなくて、山登りだとかスポーツのトレーニングに近いものだろう。
自分はどのような指導を受けたいのか、それを実現してくれる教員は誰なのか、何を勉強したいのか、どのように社会に貢献したいのか・・・をよく見極める必要がある。

研究を行うには、時間も必要である。
4年生になってまだ出なければならない授業が多いようでは、実験や結果について考える時間は足りなくなる(時間は有限なのである)。

その話は追って書くことにしよう。



 今日からときどき、「研究室、日常」のラベル(タグ)で、
私がどのように研究室で学生と接しているかを書いてみたいと思う。

それを読んで、「指導を受けてみたい」と思う人は来てください。
「いやだなぁ。」と思う人は、別の先生を選んでほしい。

ミスマッチは、学生も教員も不幸になる。
研究室を選ぶのは学生であり、教員は拒否はできない。
だから、お互いに望み望まれてハッピーになりたいものである。
(つまり、学生が自分がハッピーになれそうな研究室を選ぶことが大切なのだ)

さて、


1日の始まりの朝において、私の研究室では約束がある。

●私の研究室では、9時30分までに来ていただく。

そして、1分間のミーティングの後、10~15分、研究室(オフィスと実験室)を掃除する。
(タイマーを使うので、その間の無駄話はほとんどない。)

研究室の始まりは掃除からである。


習慣になれば、当たり前にできるようになる。
ぐずぐずしているといつまでの当たり前にできない。

この当たり前にできる(私は研究室や授業では「自転車に乗るように・・・」と例えている)ことが大切なのだ。




2012/11/13

「へぇ~」を与え、「へぇ~」を感じとる

来週、高校で出張講義を行います。
聴いてくれる生徒は、1、2年生で約30人ぐらいのようです。
炭素材料の話をする予定ですが、どのようなストーリーするかあれこれ考えています。

難しいことをいうよりも、「へぇ~」と思ってもらうことにしました。


 「へぇ~」の中には感動があり、もっと知りたいという行動が生まれると思うからです。

70分の講義のうち、正味は60分で、10回の「へぇ~」を目指すことにしました。
講義終了後のアンケートにも書いてもらうつもりです。


と思ったら、この手法、大学の講義でも使えるのはないと思いました。

そこで、明日の講義は「へぇ~」と思える場面を、急遽加えることにしました。

話す人は「へぇ~」を与え、聴く人は「へぇ~」を受け取る(感じとる)ことがいいと思います。

誰もが話す人になり、また聴く人にもなりますので、そういうマインドを準備する(習慣づける)ことが大切です。そういう雰囲気づくりも研究室には必要かなと思いました。








2012/11/10

【読書記録】  すべての仕事は[逆]から考えるとうまくいく ロブ・ヴァン・ハーストレッチト (著), マーティン・シープバウアー (著), 細谷 功 (翻訳)

 すべての仕事は[逆]から考えるとうまくいく

 ロブ・ヴァン・ハーストレッチト (著), マーティン・シープバウアー (著), 細谷 功 (翻訳)




逆から考える… 、本書のキーメッセージは非常にシンプルである。

・逆から考えるためには、目的に関係のない物事をバッサリ切り捨てる。
・逆向きに考えるためにはまず前を向くことが必須である。
★メモを読み返しての気づき
・何を「積み上げるか」を迷う時は、ゴールから逆算するとわかりやすい。
・進捗を点検するときも、「積み上げた実績」と「逆算から見た修正」に着目しよう。

2012/11/06

避難訓練がありました

本日は地震を想定した全学避難訓練がありました。

訓練をやってみて、人の動き、情報の伝達、安否の確認などの課題が改めて抽出できました。
次回はこの経験を生かして、よりよい避難ができる体制に近づきたいと思います。

10年続ければ、かなりよくなると思います。

小さな改善をコツコツと積み上げることが大切です。

研究でも勉強でも、普段の生活でも同じことが言えるのではないでしょうか。


2012/11/05

山中先生の英語講演

今日は研究に関する本を生協に注文したら、偶然にも新刊としてすぐに入荷しました。
ラッキーでした。

今日は、ツイッターで山中先生の英語講演が紹介されていました。

http://kashino.tumblr.com/post/33933534970





山中先生のヒストリーやジョークがあって面白いし、同僚を紹介し感謝するところは
非常に参考になりました。

正直言って英語はそんなに流暢に聞こえないが(私にはわかりやすい)、
もちろん内容は当然のことだが、人柄というか、一生けん命というか、
そういうものが大切なのだと思える。

Lasker Lecture: Dr. Shinya Yamanaka, 2 of 3 - YouTube http://p.tl/MUbn


何回も見返したい講演である。

それにしても、you tube って、いいですね。
こんなお手本になる講演にいつでも繰り返し聴き見ることがでいるのだから。



2012/11/04

【読書記録】幸せの仕事術―つまらない日常を特別な記念日に変える発想法

今日はホーム・カミングデー。
それぞれに卒業生、在校生、近所の皆さまが楽しめたのではないかと思います。

小山薫堂
幸せの仕事術―つまらない日常を特別な記念日に変える発想法
http://p.tl/tvx7



を読んだのでその読書メモを記します。

(日常は必ずしも「つまらない」とは思ってませんが、たまにはワクワクしてみたいときのことをメモ)


・普通のカレーが誰もが食べたいカレーに
(ストーリーをつけることにより、関心を持てる。)




・タクシーから広がる幸せの連鎖 
抜粋

作家の池波正太郎さんには、タクシーにまつわるエピソードがあるのですが、僕はこの話がとても好きです。彼はタクシーに乗るといつも、 100円ほどのチップを渡していたそうです。理由は、どんなに愛想の悪いタクシーの運転手さんでも、チップをもらうときは笑顔になったから。もらって、嫌な気持ちになる人はいませんよね。そうすると、その運転手さんは、きっと次のお客様を笑顔で迎えるだろうし、さらにお客様もいい気分でタクシーを降りるので、外出先で笑顔を見せる。

池に石ころを投げれば波紋が広がるように、小さな幸せが連鎖して、世の中がちょっとずつ良くなっていく、という話です。
(映画:「ペイ・フォワード 可能の王国」を思い出す。)

・第1章 企画の原点は人を幸せにすること
顔の見えるターゲットを意識する

・第二章アイデアのスペースは日常の中にある
そもそもアイデアとアイデアのネタというのは違います。アイディアのネタは、植物の種のように、いつか発芽して何かの役に立つかもしれない、というもの。
それは単なる情報ではなく、自分の体験や見聞から掴んだ内容や考え方です。 
目の前の仕事にすぐに活かすことができないかもしれないけれどもそうしたネタをいかにたくさん集めておけるかが重要なわけです。
つまり、いいアイデアを出すためには、生身の人間とたくさんであったり、いろいろ経験したりすることが大事なのです。

・第3章共感が社会を動かす
名刺がやる気を喚起する
名刺はコミュニケーションツール
ちょっと不器用なサプライズなんですけれども、彼らの気持ちが伝わってきてうれしかったですね。
★これは参考になる。学生のポスター発表のときは、その時だけでも名刺を作って配布すれば面白くなりそうである。
・ちょっと不器用なサプライズなんですけれども彼らの気持ちが伝わってきてうれしかったですね。
(サプライズの企画を考えてくれただけでも、うれしいものです)
毎日の当たり前のこともちょっとした心遣い、慮ることでみんながハッピーと感謝できるように思える一冊でした。


2012/11/03

すべてのことは誰かと行う「プロジェクト」

今日はよい天気でした。
フェイスブックを見ていると、友人たちが公私にそれぞれ活動しています。
共通しているのは、一人ではなく誰かと何かをやっていること。

一人で食事するとしても、その食材は多くの人の手がかかっていますし、
食べた後のゴミはゴミ箱に捨てても、その後誰かの手を経て処理されます。

すべてのことは誰かと行う「プロジェクト」と考えれば、自分ができる貢献と
目の前の人、見えない誰かにも感謝の念がわいてきます。



2012/11/02

頼もしい「見守り隊」

明日から大学祭で、今日はその準備で講義はなし。
大学中が活気に満ちていました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

勤務校の近くに小学校があります。
周辺では緑の見守り隊のボランティアが、あちこちに立って登校する子供たちの安全に気をつかっています。

校門前では信号はありませんが、子供たちも友だちとで出あって挨拶したり、急いで道路をわたっりしています。

ここにもボランティアのおじさんがいます。
私が挨拶し続けても、あいさつを返してくれませんし、どちらかと言えばうわの空です。
しかし、子供にはしっかりと声をかけています。

なんだか、いやだなぁ思っていましたが、最近、わかりました。

おじさんは、子供の安全だけを考えているようです。
自転車や自動車と子供の様子を真剣に見ているようなのです。

そう気がついてからは、おじさんには邪魔にならないように会釈だけしてそばを通るようにしています。

 頼もしい「見守り隊」です。






2012/11/01

小さい作業を積み上げる

今週末は大学祭です。

学内のあちこちでモニュメントができつつあります。
ある鳥のオブジェは、2か月ぐらい前から針金の骨組みを小さいパーツから作っていました。
(最初は、何をしているのかよくわからなかった。)

だんだんと出来上がるにつれて、「鳥(白鷺?)」であることがわかりました。

雨が降る、台風が来る、などいろんなことがありましたが、着々でできる様子が楽しみになってきました。

「何があろうと、当日までにはきちんと仕上げる。」

そんな心意気が、最初の小さい作業のときからあったにちがいありません。

今週末の大学祭がよい天気に恵まれることを祈ります。